2017年7月5日

 

 

 

 

 

 

 

孫正義の成功のカギはパラダイムシフトを逃さなかったから

 

 

 

 

 

ソフトバンクによるARM買収はIoTというパラダイムシフトの入り口である

 

 

 

 

 

 

 

 

 おはようございます。

 

 

 今回は、昨年夏のソフトバンクグループ代表取締役社長、孫正義氏のインタビューです。

 

 孫正義氏は、昨年夏、ARMというスマートフォンの原動力として使われているCPU企業に3兆円という巨額の投資をキャッシュで行い、買収しました。

 

 

 このインタビューで私たちの目を引くのは、孫さんがARMを買収した根本的理由が、40年前のサイエンスマガジンに乗ったコンピューターチップの画像だったそうです。将来人類の頭脳を超えるものを人類自身が発明したことが、当時、科学に関心のある少年であった孫さんを激しく感動させた。それが昨年のARM買収の動機です。

 

 

 後半は非常に重要な言葉「パラダイムシフト」を連発しています。これはポスト構造主義の哲学者ミシェル・フーコーが60年代に述べた理論から有名になった言葉ですが、ある時代の覇権や生活様式、インフラに大きな変更が行われるということです。

 

 

 孫さんによれば、この40年間にそれが4回あったということ。自身の成功は、各パラダイムシフトの入り口に自分がいたことにあると語っています。80年代初頭のパソコンの登場、90年代のインターネット。2000年代のモバイルインターネット。そして今、IoT、インターネント・オブ・シングスがそれであると。

 

 

 それまでのパラダイムシフトは、PCと業務の世界だけの変更で、一般的には大きな影響はありませんでした。パソコンを一般企業が本当に使うようになったのは、2000年代であり、ネットを使うようになったのも、2000年代後半からです。それまでは、コンピューターもインターネットも情報革命も、それがいったい何をするものなのかがわかりませんでした。99年に携帯電話の電子メールが登場したことで、はじめて私たち一般の人の生活に目立った変化が起きました。

 

 

  現在スマートフォンは私たちの生活に欠かせないものとなりました。家の中でも駅でも、電車の中でも、誰もがスマホを話しません。それはモバイルインターネットが完全に私たちの生活を大きく変化させている証拠です。2004年に行われた孫さんのボーダフォン買収は、ヤラセ買収であるとか、無意味で無駄なことだという見方をしている人が今でもいます。しかし、それが現在のモバイルインターネット社会を見据えたものだという視点から見れば、これは非常に大きな意味があったといわざるを得ません。

 

 

 そして今、IoTが目の前に迫っていますが、この言葉自体私たち日本人のほとんどは知りません。家電やさんに行っても、IoT製品は201年の7月現在、全くと言っていいほど見当たりません。店員さんに聞いても、全くピンと来ていません。アマゾン・エコーなんかありませんし、今の日本でIoTといる製品はネスレのバリスタiのみです。

 

 

 孫正義氏の成功の秘訣は、自分は必ずパラダイムシフトの入り口にいて、それをつかんだからだということです。そして今、明らかに目に見える形の大きなパラダイムシフト、生活様式変更(自動運転車がその先頭に立っていますが、これも日本人には知られていません。中国ではもうすでに自動運転バスが走っています)が目前にあります。私たちは全員その入り口に立っています。

 

 

 しかし、多くの人の頭は単なる「未来予想図」程度の視点でしかないのではないでしょうか。もしそうであるなら、その人の未来は暗澹たるものとなるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孫正義氏「たかが3兆円」ARM買収の先に見る、IoT時代の野望

 

 

 

 

 

 

 

Logmi

2016/07/18

http://logmi.jp/153085

 

 

 

 

 

ARMとの戦略的提携について

 

 

孫正義氏 今回のARMの買収の件というのは、私がこの10年来、ずっと考えてきた案件でありまして、いいよその日がやってきたと。ソフトバンクの創業以来、ある意味今日が僕にとってはもっともエキサイティングな日であると思っております。

 

 

 今までソフトバンクは、いろんな事業をやってきましたけども、日本で位とか、アメリカで位とかですね、そういうようなものが多くありました。もちろん中国では位のアリババとか我々のグループにありますが、我々ソフトバンクが直接オペレーションをしている事業、私自身が直接かかわる事業として、世界一というものをあまり持っておりませんでした。

 

 

 今回初めて我々が、その分野で世界一、しかもその分野がこれからの人類の歴史のなかでもっともエキサイティングなもっとも重要な産業になるであろうと思われるところに、我々が戦略的な手を打てた。このことが、私にとってはもっともエキサイティングなことであるということの理由であります。それでは早速ちょっとプレゼンしたいと思います。

 

 

 

買収資金は約3.3兆円、取引はすべて現金で

 

 

 今回の取引は、ARMの株式、上場しておりますけれども、この株式を100パーセント取得して、ARMを上場から取り下げて、ソフトバンクの100パーセントの会社になる。そういうものであります。買収の資金は総額で、日本円で約3.3兆円ということであります。資金調達ですけども、約70パーセントに相当するところ、これは手元の持っている現金で行われます。

 

 

(中略)

 

 

 

 

40年前の“チップ”との運命的な出会い

 

 

 これは運命的な決断だと思っております。なぜかといいますと、遡ること40年前、ソフトバンクを創業する前です。私が19歳のときに、ある枚の写真と出会いました。これが実際の写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 その当時の光景を今でも覚えておりますけれども、私は当時まだ学生でした。それで、車から降りて歩道の落ち葉を踏みしめながら歩いているときに、ちょうどサイエンスマガジンを読んでおりました。そのペラペラめくっている雑誌の枚にこの写真があったわけです。なんなんだろうかと。初めて見る写真だと。なにか未来都市の設計図のような写真に思えたわけですけれども、不思議だと思って次のページをめくったら、それが指先にのっかるコンピューターだということを、生まれて初めて知ったんですね。チップの拡大写真であったと。

 

 

 私はこれを見て、両手両足の指がジーンとしびれまして、感動しすぎて涙が止まらなくなったんです。車を降りてただ歩いている途中ですから、ほんの一瞬の出来事です。ほんの数秒間の間に、私の頭はグルグル回転して、涙があふれて止まらなくなった。まるで感動するような映画や音楽を観たり聴いたりしたような……感動しすぎて、しびれて涙が止まらないっていうことありますよね? そのような感覚がそのとき僕にやってきたんです。

 

 

 なぜかというと、これはついに人類が産み出した、初めて人類の頭脳を超える、将来人類の頭脳を超えるであろうものを、人類が自らの手で発明して産み出したと。これが将来もっともっと進化したときに、人類の未来に与える影響がいかばかりのものであるかと。いずれ人類の脳細胞の働きをはるかに越えていくだろう、ということをそのときに思って、その怖さとその感激とその興奮が、一瞬の間に私を涙が止まらないという状況にしてしまったわけですね。そのチップの写真がついに今回、今日この日に、我々が自ら、私自身が自ら、その人類の未来の姿に大きく関わっていくことができると。そのような決断ができたということであります。

 

 

 

IoT時代におけるARMの優位性

 

 

 今、世界中のコンピューターのチップ、多く出荷されておりますけれども。パソコンの、PCのなかに入っているCPUはほとんどがIntelです。でも、パソコン以外のものに入っているCPUはほとんどがARMであると。つまり、PCの外、これからインターネットにあらゆるものがつながっていく、Internet of Thingsの時代がやってくる。その中心の会社はARMであると。

 

 

 そのARMに関わるということを、僕がはじめて19歳の時に見たマイクロコンピュータのチップの拡大写真と、40年ぶりに私はそこに直接関わることができると。この興奮が私を……。なんていうんですかね? 今日はそういう意味では、私の事業家としての人生、私自身の人生のなかで最もハイライトをあてるべき日が今日のこの日だと思っておるわけです。

 

 

 そんな日に一緒の部屋にいれたみなさんは幸せだと、僕は思いますよ(笑)。私が幸せなんだから、きっとみなさんも、そんな幸せな男と同じ部屋にいるというだけで、幸せなを共有してると思うわけですが。まあ、それは言い過ぎですかね(笑)。でも、それぐらい本当に幸せなんですよ。

 

 

 

過去40年間のパラダイム・シフトにおける投資

 

 

 それで、ソフトバンクは、実は投資に対するリターン、益が44パーセント。18年間、毎年毎年の複利で44パーセントの、投資に対する見返りの果実を得たということなんですけども。「その秘訣をつだけ言え」ということを尋ねられるとすれば、私は常にそのIT業界の情報革命のパラダイム・シフト、年か10年に一度パラダイム・シフトが起きてるんですけれども、そのパラダイム・シフトの「入り口」で常に大きな賭けをしてきたと。そこが唯一、我々の、この44パーセントの成功の理由だと思うんですね。

 

 

 44パーセントのリターンというと、みなさんちょっと思い描いてみてください。世界中のプライベートエクイティの投資会社、世界中のベンチャーキャピタルありますけれども。この何兆円という規模で、しかも44パーセントの投資に対する回収の実績を持ってるという会社は、僕の知るかぎりでは、ほかに世界中に社もないと思います。その唯一のコツを聞かれるとすれば、今言いましたように、パラダイム・シフトのときに私は投資してきたと。40年間のなかで回大きなパラダイム・シフトがあったとすれば、その10年に回のパラダイム・シフトで、私は入り口で投資してきたということであります。

 

 

 

IoTは人類史上最大のパラダイム・シフトになる

 

 

 じゃあ、なぜARMかというと、これからやってくる人類史上最も大きなパラダイム・シフトが、モバイルインターネットは次にInternet of Thingsになると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 PCがPCインターネットになったんだと。次はモバイルインターネットになったと。モバイルインターネットの次はInter of Thingsだと。インターネットでつながるものが、パソコンからモバイルになって、モバイルの次はすべてのものがインターネットにつながると。これはこれから、人類史上、やってくる、最も大きなパラダイム・シフトになると、私は信じております。だからその入り口で投資をするんだということであります。

 

 

 おそらく多くの人々は、インターネットが始まってすぐのときに、まだ「インターネットってなんだ?」ということで懐疑的に見ていました。でもソフトバンクはそこに果敢に投資した。

 

 

 モバイルインターネットがやってくるときに、私がボーダフォン・ジャパンを買収したときに、「なんでいまさらもう成熟した携帯電話の事業に投資するんですか?」と聞かれて、「いや私は成熟した携帯電話の、電話の世界に投資するつもりはまったくない」と。「これからやってくる、携帯がモバイルインターネットになる、その入り口に投資をするんだ」とコメントをしました。

 

 

 でもその当時は、多くの人は意味がわからなかったということですね。ですから、ソフトバンクの株は、当時その噂が出てから、週間で割ぐらい株価が下がったんですけれども、ほとんどの人が懐疑的であったと、ついにソフトバンクが倒産すると。

 

 

 今回は、ソフトバンクが倒産するほどのお金は必要とされていないという意味で、ソフトバンク創業以来最大の投資ですが、まあ、たかが兆円だと言ったら怒られるかもしれませんが、それ以上の現金と資産を持ってるから、今回はほとんど手元の現金でやれたということであります。どちらにしろ言いたいのは、パラダイムシフトの入り口