2017年2月20日

 

 

 

 

     

    Hyperloop Pod Fights: リニアーモーターデザインの壮絶なコンペ合戦

 

 

 

先進的試みに投資先の望みのない日本、そして医療ロボなどの記事

 

 

 

 2017年2月11日に、日米首脳会談が開催されました。安倍晋三総理大臣がトランプ米大統領と、先進国の首脳に先駆けて会談をしました。

 

 その会談の際に、GPIFという日本の年金の運用機構から、およそ50兆円にも及ぶ規模で米国のインフラ投資を行うのではないかという報道がなされ、日本では大騒ぎになっています。

 

 今年の6月にも年金支給額が0.数パーセント程度ですが、金額にして数百円の減額が行われるようです。非常に困ります。その一方でこのような先進国の国家予算並みの投資というのは、あり得ないということで、各党や様々な勢力が批判をしています。

 

 編集部としてもこのことは非常に憂慮しているのですが、そこに来てなぜこのような投資が行われるのかという疑問が残ります。

 

 そこで以下の記事をご覧ください。そうした無謀とも思えるような「投資」もやむ終えないのではないだろうかという事例が、海外では無数に起こっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時速1000kmオーバーの超高速鉄道「ハイパーループ」、27のプロトタイプが走る

 

 

http://www.msn.com/ja-jp/news/techandscience/%e6%99%82%e9%80%9f1000km%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%90%e3%83%bc%e3%81%ae%e8%b6%85%e9%ab%98%e9%80%9f%e9%89%84%e9%81%93%e3%80%8c%e3%83%8f%e3%82%a4%e3%83%91%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%bc%e3%83%97%e3%80%8d%e3%80%8127%e3%81%ae%e3%83%97%e3%83%ad%e3%83%88%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%97%e3%81%8c%e8%b5%b0%e3%82%8b/ar-AAmP7EW?ocid=spartandhp#page=2

 

Engadget 日本版からの記事

 

© Engadget 

 

 

 

 

 高速で地上を移動するための新たな交通手段を確立しようと励む企業はいくつかある。その中でもスペースX社ハイパーループに対するアプローチは興味深い。同社のイーロン・マスクCEOは、同氏が経営するテスラの場合とは異なり、この低圧チューブを利用した超高速輸送システムを自社開発するのではなく、他者の手に委ねて独自のアイデアを膨らませもらおうという姿勢をとっている。

 

 この方針に基づき、スペースX社は29日、世界中からチームを迎えてハイパーループ・ポッド・コンペティションを開催した。スペースX社は、今回の大会で得られた情報も引き続きオープンソース化すると述べている。

 

 2015年夏にスペースX社が発表した第一弾となるポッドのデザイン・コンペには、1,200件を超える応募が寄せられた。多くは大学に籍を置くチームで、そのうちの27チームがカリフォルニア州ホーソーンにあるスペースX社の敷地内に集まり、自らがデザインした試作品をテスト走行させたのだ。

 

 本大会で、実際に作動するポッドのプロトタイプは様々なテストを通して評価される。スペースX社は、人が乗り込むのに十分な広さのポッドを収容できる、マイル(約1.6km)の真空チューブ状のテスト・トラックを建設している

 

 参加チームのほとんどは、大学の工学科の学生たちだ。OpenLoop(オープンループ)は、複数の大学による共同チームで、ミシガン大学、ノースウェスタン大学、プリンストン大学、コーネル大学、ハーベイマッド大学、そしてニューファンドランド・メモリアル大学のメンバーで構成されている。これに対し、単独チームのrLoop(アールループ)は面白いことに、大学間の連携がないにもかかわらず、メンバーのうち100名が14カ国から参加Team Hyperlift(チーム・ハイパーリフト)も注目株で、テキサス州ヒューストンにあるセント・ジョンズ高校の生徒たちのグループだ。

 

 スペースX社が、ハイパーループのチームを自社のテスト・トラックに集めるのは、これで最後というわけではない。この大会に意義を見出している同社は、今夏にも2回目のハイパーループ・ポッド・コンペティションを開催する予定だ。次大会では、どれだけ速度が出せるかが焦点となるはずなので、こちらも見逃せない。

 

 上記ギャラリーでは、大会に参加したポッドの中から注目のデザインをいくつかご紹介しているが、全チームを網羅したリストをご覧になりたい方は、詳細な情報も載っている米国のビジネス情報サイト『Business Insider』がおすすめだ。

 

https://youtu.be/PMd_QGmmkgY

 

 

 

 

 

 

 

 編集部からのコメントです

 

 hyperloopに関しては以前、「英紙「フィナンシャル・タイムズ」―自動運転車と都市インフラ改革に関する記事」という題名で、Hyperloop Oneの試みをご紹介したことがあります。http://www.noteware.com/FT1.html

 

 この企業はイーロン・マスクが立ち上げた会社ではないのですが、そもそもhyperloopとhyperloop podという時速1000キロで、新旧チューブをソケットのような小型リニアーが走るというコンセプトをマスクが2012年に発表し、それに基づいて起業された会社のようです。

 

 マスク自体は自社の宇宙開発企業Space Xにおいて、hyperloop技術を行っていたのです。それも自社の敷地内に人が乗り込むのに十分な広さのポッドを収容できる、マイル(約1.6km)の真空チューブ状のテスト・トラックを建設していたという事実は非常に驚きました。さらに、さまざまな大学や、高校生のチームまでが集まって、ポッド(つまり乗り物自体)のデザインコンペを行い、実際に走らせていた事実は、驚愕以外の何物でもありません。

 

 こんなこと、日本では全く知られていません。リニアといえば、のぞみより早い列車であり、それは2020年のオリンピック以降に、あたらしい新幹線として中山道に開通するといった程度の認識です。

 

 いったい日本の工業大学はおろか、どこの高専や工業高校が、真空チューブ内の小型リニアー(すでに人を乗せて走行可能)のデザインコンペに参加できるというのでしょうか。東大や東工大でも不可能でしょう。いや、それ以前にそんな驚くべき試みは「日本では誰も知らない」のです。

 

 このすでに人を載せて高校生までがアメリカでは実験をしているという事実を、youtubeの映像で、ぜひ確認してみてください。

 

 (ちなみにHyperloop Oneという企業は、もはや実験段階ではなく、ドバイとアブダビで巨大なhyperloopを建造中です。アメリカの都市部から、大陸全体にこのインフラを建造していくことはもう目の前なのでしょう。)

 

Hyperloop Pod Flights (2017年1月29日にロスアンゼルスのSpaceX本社の敷地内で行われた、高校生までが参加したリニアーポッドのデザインコンペの映像です。)

https://youtu.be/PMd_QGmmkgY

https://www.youtube.com/watch?v=MYxgfpWW5Q8

 

 

 次はボッシュという日本では工具で有名な会社の記事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボッシュがAI研究に360億円投じる、独米印の開発拠点が2017年に稼働

 

 

 

 

人工知能ニュース

20170131

 

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1701/31/news025.html

 

 

 Robert Boschは、2017年からAIセンターを稼働させる。2012年までに億ユーロ(約366億円)を投資する。インド バンガロール、米国 パロアルト、ドイツ レニンゲンに拠点を置く。従業員数は各拠点を合計して100人を予定しているが、今後数年で数倍以上に増やす。

 

 Robert Bosch(ロバート・ボッシュ)は、2017年からAIセンター(BCAI:Bosch Center for Artificial Intelligence)を稼働させると発表した。2021年までに億ユーロ(約366億円)を投資する。インド バンガロール、米国 パロアルト、ドイツ レニンゲンに拠点を置く。従業員数は各拠点を合計して100人を予定しているが、今後数年で数倍以上に増やす計画だ。

 

 AIセンターは、人工知能(AI)分野の専門知識を強化するために設立した。研究活動を行うだけでなく、同社の全部門でAIを実用化するシステムに育成する。製品に組み込むだけでなく、コネクテッド・マニュファクチャリング(ネットワーク化された製造)の改良にも応用する。

 

 Robert Bosch CEOのフォルクマル・デナー氏は「今後10年で、AI抜きで作られるボッシュ製品はほとんどなくなる。製品自体がAIを内蔵するか、少なくともその開発と製造過程でAIが重要な役割を担う。年以内にAIを備えた製品がボッシュの売上高の10%を占めるだろう」と述べている。

 

 

 

スマートキッチン向けのアシスタント「Mykie」 出典:Robert Bosch

 

 

 

 Robert BoschはAIを活用して、モノを「インテリジェントなアシスタント」に替えようとしている。米国の市場調査会社Tracticaの予測では、AIによるアシスタントを利用する人が2021年までに3.5倍以上に増加するという。

 

 これに向けて、Robert Boschは家庭用ロボットの「Kuri」、スマートキッチン向けのアシスタント「Mykie」を「CES 2017」(20175~8日、米国ネバダ州ラスベガス)で披露した。

 

 Kuri2017年末に米国で市販予定。子どもを模した高さ50cmほどの本体に、スピーカー、マイク、カメラ、センサーを内蔵している。家族の一員となることを目指し、人間とのコミュニケーション能力を持たせる、パーソナル化を重視して設計した。ベッドに入った子どもにおとぎ話を読み聞かせたり、子供たちが学校から帰ってくると両親にそれを報告したりする。

 

 Mykieは冷蔵庫の中身を把握して買い物リストを作成したり、調理を助けたりするという。

 

 

 

家庭用ロボットの「Kuri」は2017年末にも市場投入の予定 出典:Robert Bosch

 

 

 

 また、AIによってクルマがインテリジェントなアシスタントとして実現可能なことを示すコンセプトカーもCES 2017で紹介した。さまざまな生活シーンがシームレスに接続され、クルマは異なるドメイン間の通信において中心的な役割を担うと位置付けている。また、超音波センサーを使ってジェスチャー操作に対して触覚フィードバックを行う新技術も搭載している。

 

 Robert Boschでは、2017年末までに車両とスマートホームを結ぶ通信の基礎技術の確立を目指す。

 

 

 

 

クルマはさまざまな生活シーンをシームレスにつなぐための中心的役割に(クリックして拡大) 出典:Robert Bosch

 

 

 

 

 

 

 編集部からのコメントです。

 

 この記事を読んで、すべてが氷解しました。日本は今の意識の低さのままでは、完全にガラパゴス化に向かう一途にあります。

 

 以前、自動運転車とAmazon Go、Alexaの記事をご紹介した時に、グーグルは言語認証を、アマゾンは音声認証を、両社で画像認証を独占して、それぞれのエコシステムをアイテムのみならず、企業や業界、人材、顧客にまで及ぶ「エコシステム」を確立するのではと当社編集部は考えました。

 

 しかし、ドイツはさすがです。哲学レベルから世界の科学技術をけん引してきた国ですから、黙ってはいません。同じく数学能力が世界的に高く、高度なIT技術者のいるインドと組んで、米独印にAI研究施設と人材雇用に300億に及ぶ投資を行います。これは本来日本がやるべき仕事だったはずです。米国の独占を科学技術においては許さないのは、「モノつくりニッポン」の掛け声がかまびすしい日本の仕事ではないでしょうか。

 

 しかも、インドは同じアジア人で、東アジアで抱えてきた歴史的な軋轢を持っていない、非常に友好度の高い国であり国民です。少し前は、日本の大企業から中小企業に、品の良く知的な日本語を話す、真摯な態度のインド人IT技術者がたくさんいて、日本人サラリーマンと一緒に社員食堂で食事をしていたのです。

 

 そこへきてボッシュ社のMykieです。以前ご紹介したアマゾン・エコーのキッチン版です。アマゾン・エコーという音声アシスタントAIデバイスは、特に女性に人気があり、適応性がよいという報告があります。女性がたつことが多いキッチンに音声アシスタントを置くことは、単純な発想でありながら、アマゾンによる音声独占体制の間隙を縫うデバイスです。くれぐれもボッシュとは工具会社であり、自動車機器の会社です。

 

 当然ボッシュは自動運転車の開発を行うのかと思うのが筋ですが、もう一つの子供の身の回りを見るKuriと合わせて、全く車と関係のない、過程そのもののスマートシステムに参入していくという目の付け所です。子供の対応に追われる日本のママさんは、悲鳴を上げて狂喜する「心の友」となるのではないでしょうか。

 

 そして最終的にはスマートホーム(すべてをIT系技術に紐づけて、特にエネルギー消費の効率化を図る試み)を自動車をシームレスに接続し、車を家、家庭生活の延長として全く新しいコンセプトに変えるという試みは、全くアメリカにもないもので、当然日本では考えも及ばない発想です。

 

 

 

 そこに来て、安倍総理の米インフラへの51兆円の投資話ですが・・・・・・各方面から批判が高まっております。私も親の年金がまた減らされようというときに、このニュースはたまったものではありません。

 

 しかし、豊洲問題、オリンピックと日本で投資をする先を考えると、いったいどこに先進的で本当に有効な投資先があるのでしょうか。

 

 両方ともに日本のスポーツ振興や施設建設に日本の台所を預かるという、有効を超えたレベルの投資です。しかし、知らないところであれよあれよという使途不明な予算の膨れ上がりと、ファミリー企業を利するお金の使い方、また世界に恥をさらすようなデザインのフェイクや競技場の変更、豊洲の地質調査への疑義が明るみに出ました。

 

 それではどこ日本のお金を投資すればよいのか。ダム、不必要な道路、駅前開発、土地取引。今では時代遅れの無駄遣いといわれて久しいものにしか投資先がありません。そして、そのままにしておくと、年金も郵貯簡保も、結局は日本のファミリー企業や官僚機構、特殊法人、はたまたアメリカやハゲタカファンドに必ず流れていきます

 

 そこで安倍総理のとった自らの投資行動は、日本企業による新幹線などとの受注と抱き合わせで、「比較的効果的」としか言いようがありません。そして、たしかにアメリカは、hyperloopやAI事業、これまで紹介したアマゾンやグーグルの新事業による業態やインフラの革新的変化へ向けて、大きく旋回しています。

 

 年金を50兆も差し出す情けないお土産外交、バラマキ外交とけなす前に、それは私たち日本国民の先読みのなさ、ガラパゴス的な閉じこもり思考のなす業なのではないでしょうか。そしてそうこうしているうちに、次の記事のようなことが、身の回りに、自分自身に降りかかって来ているのではないかと思います。

 

 私たちはこのままでは、ガラパゴスにいる海イグアナと同じです。ただし、死ぬ思いで働き、働かされている海イグアナです。

 

 

 そこで次は、モノづくりや職人芸を極端に尊ぶ「人力ハイテク国家ニッポン」の医療現場の現状を述べた記事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

「月60時間」は看護師の過労死ライン?! 残業規制は何時間が適切か

 

 

 

産経新聞 

2/12(日) 10:50配信

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170212-00000504-san-soci

 

 

内視鏡検査の準備をする看護師ら。長時間労働の是正が求められている(写真:産経新聞)

 

 

 

 電通の新入社員の過労自殺を発端に、残業時間の規制の動きが急速に強まっている。政府は、過労死ラインとされる「月80時間」を念頭に、月平均で60時間を残業の上限とする意向。しかし、この政府案に待ったをかけたのが、看護師たちだ。24時間体制の過酷な業務は、警察官や消防隊員も変わらない。医療や治安などを守るためにも彼らの言い分に耳を傾ける必要があるが、果たして過労死を防ぐ適切なラインはどこにあるのか。(社会部 天野健作)



 ■違法な残業が蔓延

 電通に入社した高橋まつりさん=当時(24)=は半年間の試用期間を経て本採用になった途端、急に増えた残業に苦しめられた。残業時間が130時間を超える月もあった。

 「もう(午前)4時だ。体が震えるよ」

 「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」

 高橋さんのツイッターなどにはこのような嘆きが並んでいた。

 もともと労働基準法では、1日8時間、週40時間を労働時間の上限としている。ただ労使協定を結べば、上限を超える残業も可能で、決め方次第で残業は“青天井”なのが実情だ。政府はここに法律の網をかぶせようとしている。

 では、残業上限はどこが適切なのか。厚生労働省によると、健康障害のリスクが高まるとする残業は「月80時間超」だという。これは、働く日数を月20日間だと仮定すると、1日の労働時間が12時間になる。

 厚労省は昨年4月から、労働基準監督署の立ち入り調査の対象となる残業時間を「月100時間」から「月80時間」に引き下げた。同年9月までの半年間の調査では、前年比の倍となる約1万の事業所を調査。その結果、4割で労使協定を超える違法な残業が確認された。過重労働は蔓延(まんえん)しているのだ。

 若き命を失ったことも教訓に、政府の働き方実現会議は、残業の上限時間を月平均60時間、年間720時間にする。繁忙期には一時的に月100時間まで認めるという案をとりまとめようとしている。



 ■「過労死を容認するものだ」と反論

 しかし、この「月平均60時間」にも異論がある。

 日本医療労働組合連合会(医労連)は2月、「夜勤交代制労働など業務は過重である。政府案はまさに過労死を容認するもので、断じて容認できない」として、「月60時間」が過労死ラインと主張する談話を公表した。

 医療や介護の分野は特殊である。警察や消防も同様だが、24時間365日の稼働が必要だ。夜勤交代制は体に有毒で、睡眠障害や循環器疾患、長期的には発がん性も指摘されている。医労連の平成25年のアンケートでは、看護師の「慢性疲労」が7割を超え、「仕事を辞めたい」も75・2%に達している。


 ■後を絶たない過労死

 看護師側が「月60時間」を過労死ラインと断ずる理由は、20年10月の大阪高裁判決にある。くも膜下出血を起こして看護師の女性=同(25)=が死亡したことに対し、遺族側が国を訴えたケースだ。

 女性の残業は、国の過労死ラインを下回る月50~60時間程度だった。しかし、判決では、不規則な夜間交代制勤務など「質的な重要性」を併せて過労死と認定したのだ。判決は被告側が上告せず、確定している。

 21年には日本看護協会が残業に関する緊急の調査結果を発表。全国の病院で働く看護師のうち、「約2万人が過労死の危険がある月60時間以上の長時間残業をしていると推計される」とした。

 しかしこの後も看護師の過労死は後を絶たない。

 東京都済生会中央病院に勤務していた看護師の女性=同(24)=が死亡し、労基署が労災を認定した。

 24年12月にも、就職して1年目の看護師=同(23)=が月65時間を超える残業で過労自殺。昨年末、国に労災認定を求め、遺族が札幌地裁に提訴している。

 

 

 

 

 

 

 

編集部からのコメントです。

 

 非常にわかりづらい記事なのですが、医療現場にいる看護師にとって、月60時間の残業は過労死の危険が非常に大きいラインで、線引きが甘すぎるということのようです。一般の事務作業などで月60時間であるならば、それを上限と定めても問題はないかもしれないですが、夜勤など不規則な時間帯などを含めた看護師の勤務体系では、60時間を上限とするというのはかなりの危険レベルの重労働を許容するということです。

 

 一般企業の場合、ただ「帰りづらい」「遅くまでやっているほうがえらい」「生活残業(青天井の残業代稼ぎ)」といった部分が大きく、労働時間のこうしたキャップをつけられるのは不都合な人も多くいると思います。

 

 しかし、医療現場にいる看護師や医療事務方、医師にとって、そういった余裕のある残業は問題外です。いずれにしろ言えることは、無駄な残業であれ、生命に危険な残業であれ、残業は日に2時間程度でなくてはおかしいのです。つまり月に40~45時間程度が自然です。もっと言えば残業何度する必要などないのです。

 

 そこで、こうしたムダと危険を解消する新しい試みが「ヘルステック」です。医療のIT革命です。一般事務や営業はもとより、小売業や配送、土木や建設に至るまで、AIを基礎に置いた新たなIT革命は、人間らしい生活と新たな富、本当の便利さと快適さを手に入れる「するべき努力」として位置づけられるべきです。

 

 どんなに有能な看護師さんであっても、眉間にしわを寄せて、余裕のない、イライラした態度で作業をされるのは看護側患者側のどちらにとっても何の利益もありません。その挙句に注射ミスなどの簡単な医療ミス、重大な医療ミスが起こって患者さんの命が危険にさらされ、病院自体が経営困難になり、刑事民事訴訟に至ったり、看護師さんやお医者様、医療事務の方が過労死でなくなるのでは、いったい何のサービスなのだか、その存在自体に意味がありません。最初から何もなかったほうがよかった事例に枚挙のいとまがないと思えます。

 

 すべての業界のサービス提供者と顧客にも言えることですが、患者さん、お医者様、看護師さん、医療事務の携わる方のすべてが、快適で便利、人間的な生活を送りながら、優れたサービスを効果的に提供でき、それを気持ちよく受け入れられる現場を実現するシステムやデバイス導入が必要なのです。

 

 そのためには、なんでも人力で、自分のプライドをかけた職人芸尊重では、必ずミスや不幸と隣り合わせなのです。かすりの着物や彫刻を掘るという本当の個人の職人さんならいいでしょう。しかし、一般的な製造やサービスの現場にそれを適応するのは、時代にそぐわなくなってきているのです。

 

 100年前に文明を象徴するものであった鉄道を受け入れられなかったかご屋さんは、自分たちの職人的プライドをかけた「文明の利器」として「人力車」を発明しました。それまで、二人でたいていはゆっくり歩きで人を運んでいたかごが、一人で、車輪付きなので走ってスピードを出すことを可能にしたのです。コスパが非常にいいですね。

 

 しかし、そこにあった現実は、かご屋では二人であった人間が一人になって失業者を出し、さらに一人で稼働しなければならず、車輪があるため常に走らなければならなくなりました。人力車の「運転手」の寿命はみな40代に満たず、胸と心臓をやられて亡くなったそうです。

 

 方や、それまでの日本の歴史すべてを合わせても全く太刀打ちのできないほどの膨大な雇用を生み出し、人力に比べれば圧倒的に効率のよい労働であった鉄道が以降150年にわたって反映し、今も重要な産業として存在しています。

 

 21世紀も20年目の後半に突入した私たちは、現在「人力車」を担いでいるのです。しかし、新たな100年のインフラと生活を構築する時期が今なのです。新たな技術やデバイスは、そうした私たちの安全で幸せなライフスタイルの積極的なアシスタントとして目の前で待っていてくれているのです。

 

 

切ない記事が続きましたが、最後に、直接IT技術というわけではないのですが、非常にほっこりとした、人間の基本に戻った記事「赤ちゃんロボット」をご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

介護施設に「能面」ロボ=認知症改善で期待―宮城県

 

 

時事通信 2/11(土) 

20:01配信

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170211-00000064-jij-pol

 

 

 

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=TEvXyoxvkc4

 

 

 認知症の改善や予防に向け、宮城県名取市の介護施設で、コミュニケーション用ロボット「テレノイド」が導入された。

 能面のように特徴がない顔立ちで、逆に思い思いの人の姿を重ねることができ、会話を避けがちな高齢の施設利用者でも受け入れられやすいという。

 テレノイドにはカメラとスピーカーが内蔵され、遠隔からの操作や通話で、コミュニケーションを楽しむ赤ちゃんほどの体格と重さで、四肢は簡略化されている。

 開発した大阪大学の石黒浩教授によると、ロボットとの会話により、認知症の予防や症状の進行を抑える効果が期待できる。研究目的を除けば、介護現場での導入は世界初。

 11日は導入した特別養護老人ホーム「うらやす」で記念式典が開かれ、出席した宮城県の村井嘉浩知事は「宮城県は東日本大震災で大きな被害を受け、(人口流出で)他よりも10年早く高齢化が進んでいる。新しい介護のモデルをつくって世界に発信したい」と述べた。 

 

 

 

 

 

 

 

 編集部からのコメントです。

 

 このyoutubeの映像を初めて見た時、衝撃でした。それまで、全く元気も何に対しても興味もなく、ただぼんやりして下を見ていた年配女性が、この「赤ちゃんロボ」を抱いたとたんに、表情がみるみる変わります。急に生き返って、以前の人間らしさを取り戻した表情を見た時、ショックでしばらく動けませんでした。

 

 映像を見てわかりますが、これはロボットというわけではなく、臨床心理士さんや看護師さんが別の部屋でロボットの声になって語り掛ける仕組みです。これもいずれすべてディープラーニングによるロボットになると思いますが、現在データを取っているところだそうです。

 

 しかし、この試みの価値は、たとえAI技術が進んでも、医療分野には人間がかかわることとIT技術の両方が並立して、患者さんや受診者にケアを行うことが最も大切なことだということです。受診をする側も、人間がいいという人もいれば、ロボットがいいという人、こうした人間が向こうにいるのがいいという選択が可能です。心理士や看護師、保健師の方もこうして相手とのやり取りがしやすいことに、仕事の意義が高まるのではないでしょうか。相手が能面のロボットの形をとっているから、なんでも話しやすいということがあるとのことです。

 

 つまり、これまで重労働の人力中心の現場に、AIが入ることで労働やミスをなくし、人間はもっと広く大きく、あたらしい試みやケアをすることに振り向けていけばいいということです。そこに新しい快適さと便利さ、富と幸福が生まれるはずです。

 

 こうした今後100年を見据えたインフラの変革を、私たちは特にAI技術を中心にして構築していくことが、21世紀も20年が終わろうとしている現在の使命であると、当社編集部は考えています。