2017年5月15日

 

 

 

 

 

 

ドイツも空を飛ぶ

 

 

 

ウーバーも空を飛ぶ。どいつもこいつも空を飛びます

 

 

 

 

 

 

 

 おはようございます。

 

 

  本日は副題の通り「どいつもこいつも空を飛ぶ」という記事です。まだ実現すらしていないレベル4の自動運転車、ドローン空母のニュースすら古めかしく思わせる「空飛ぶ車」の実験成功のニュースが欧米の新聞雑誌の紙面をにぎわせています。

 

 

 さすがに日本では、空飛ぶ車の実験でさえもなかなか認可されず、それを実行しようという人も企業も現れそうにありません。

 

 

 それでも空を飛びたいものです。人間の長年の夢、鳥になるというのはライト兄弟をもってしても実現したとはいいがたく、航空機に乗ることは、電車やバスに乗ることとあまり変わりのないものです。というより、かなり身近なものになりましたが、日常的移動手段とはいいがたく、はるかに手間のかかるものです。

 

 

 先日はシリコンバレーでの飛行自動車(というより、人間の乗るドローン)の記事を紹介しましたが、今回はドイツの企業です。しかもこちらは本当に飛行自動車といえるものに近いようです。写真で見る限り、軽ヘリコプターのようですが。

 

 

 いずれにしろ、自動車の発明と同じように、飛行自動車もアメリカ人とドイツ人が先鞭をつけるのだという感想を抱きます。一から物を作るということにおいて、ドイツ人は黙ってはいません。日本人も本来そのような気概があるはずなのですが、今や世界的に息の詰まるような規制でがんじがらめです。当面は、米独の動きを注視するしかないようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな空飛ぶ「車」、ほんの少し現実に

 

 

 

 

ドイツ企業がテストを終了。ウーバーは2020年までに試作機を約束

 

 

 

 

 

 

Small flying “cars” come a bit closer to reality

 

 

 

A German firm completes a test, and Uber promises a prototype by 2020

 

 

 

 

 

 

 

 

The Economist

Apr 26th 2017

http://www.economist.com/news/business/21721339-german-firm-completes-test-and-uber-promises-prototype-2020-small-flying-cars-come

 

 

 

 

 「あなたは笑顔は現実になるだろう」とヘンリー・フォードは1940年、半分車で半分は飛行機である機械の到来を予測してそう語った。何十年もの間、技術者たちは飛行自動車に取りつかれていたが、実現はしなかった。ようやくその実現を信じる根拠が見つかった。一部の企業が、ちょっとした移動のための小型ポッドに人を乗せて飛ばすことが、次の10年間で実現するという希望を与えている。これらのほとんどは陸地の運転には適していないので、車ではないが静かなヘリコプターのように垂直に離着陸が可能な小型の乗り物である

 

 

 毎時最高で300キロメートルで飛行することができるドイツのスタートアップ企業リリウム社製の小型電気飛行機の試作機が、20バイエルンでテスト飛行を成功させた。リリウムは人乗りの飛行機の開発に乗り出しており、ライド・ヘイリングサービスの提供を考えている。 またe-voloというドイツ企業も数年間に及ぶ飛行自動車のテストを行っているe-volvo社は最近、自社の電気ヴォロコプター(写真)の2番目のバージョンを披露した。ヴォロコプターは来年早々にも飛行認可が下りる予定である。

 

 

 さまざまな装いで小さな飛行自動車を作って実験している企業は、自動車メーカーのフォルクスワーゲンの一部門であるイタルデザイン・ジウジアーロ社と提携した航空宇宙大手のエアバス社を含み、少なくとも十数社存在する。多くの企業は、まず最初に有資格パイロットに操縦させ、その後、法的許可が下りた時に自動運転の設定に移行する予定している。オートバイ型のまたがって搭乗する飛行機もまた開発中だ。

 

 

 どのメーカーが一番先にスピードを上げるのかに関わらず、ライドヘイリング企業であるウーバーは、事の中心であることを目指している。4月25日、ウーバーはダラスでイベントを開催し、電気「垂直離着陸」配車サービスを、それがなければ渋滞に巻き込まれ、すぐには目的地にたどり着けない地域で提供する計画を発表した。ウーバーは、自社で車を所有しないことと同様、これらの航空機または着陸パッド自体を建造したいとは思っておらず、他の企業との協働を計画している。しかし、ウーバーの首席製品責任者であるジェフ・ホールドンは、1機で約100万ドルのコストを見積もっている航空機を数機所有する可能性を排除していない。

 

 

 同社は、2020年までにサービスのひな形を準備する。当局が深い航空専門知識を持ち、人々が長距離通勤をするダラスとドバイ両都市で最初にサービスを開始する。空の旅あたりの運賃は、低コストの配車サービスであるウーバーXのコストとほぼ同じになることを同社はやや楽観的に約束している。

 

 

 ウーバーのようなメーカーやサービスには、重力よりも乗り越えなければならないことがたくさんある。バッテリ駆動モデルの場合、移動範囲は限られており、充電には時間がかかる。この新しい輸送形態が都市で実現するためには、メーカーは車両が離陸して静かに着陸できるようにする必要がある。車よりはるかに厳しい規制の対象となる新しい航空機を監督し認可する方法は、規制当局で激しい議論の対象となるだろう。当局の動きは鈍いものであり、ドローン問題に直面し始めたばかりなのだ。飛行自動車の運転手は、おそらくは簡略化される「スポーツ」免許にもかかわらず、パイロットの免許が必要となるだろう。

 

 先の長い旅になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 編集部後記です。

 

 

 先日の記事と合わせてみる限り、どうも飛行自動車というより、簡略ヘリ(アメリカの開発中の物は人間の乗るドローン)という感じです。007で出てくるようなものとは相当イメージのかい離があります。

 

 

 飛行自動車の場合、何かが起きた時、とりあえず側溝に車を寄せることができません。どこかに着陸させなければなりませんが、現状の都市の場合、どこにでもというわけにはいきません。現在考えられている新しい輸送インフラは、都市を頭に描いています。人口の密集していない、自然が大部分を占める地域なら、ドローン配送もライド・ヘイリングも自動運転車も空飛ぶ飛行機も特に問題はないのです。

 

 

 ですから、こうした新しい試みは、都市インフラ改革とセットで行われなければ、一般への普及は難しいでしょう。先日の記事に、都市インフラ改革企業の「サイドウォーク・ラブズ」がありましたが、こうした企業は時代の必然といえます。

 

 

 日本政府も、こうした新しい試みをしている企業が自由に実験できる田舎や地方都市の一角を開放して、いくらでもできることはあります。またそうした企業に投資することもできます。GPIFで米国債や米国の不動産に投資しているようですが、それに比べたら実に安いものです。こうした企業に投資したり環境を整えてあげるくらいのことはできるはずで、そこから技術を学んだりすることも併せて、外国企業は大歓迎するでしょう。外国での実験に投資してもいいと思います。もちろん日本企業に対しても、かつての「通産省モデル」で経産省は積極的に行ってはどうでしょうか。留学コースでも、研修コースでもいいです。微々たる予算です。見学旅行だけでもいいと思います。

 

 

 日本は自然と地勢から来る「ガラパゴス文化」があります。その間、外国の情勢をじっと見守って時間を稼げるという利点をうまく使ってきました。古い話ですが、第二次大戦までに海軍と航空機を増強できたのは、第一次大戦という遠いヨーロッパの問題に深く関与しなかったという事情があります。日本は、技術革新とレベル維持ができる環境が、文化と地勢的に整っているという意味です。

 

 

 ただその間、情報に対して耳と目をふさぎ、口までふさいでいては、、たちまち日本は非常に危険な状態に陥ります。「脳内ガラパゴス化」だけは、避けたいものです。

 

 

 

 

 以下は英語の原文です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“YOU may smile, but it will come,” said Henry Ford in 1940, predicting the arrival of a machine 

that was part-automobile and part-aeroplane. For decades flying cars have obsessed 

technologists but eluded their mastery. Finally there is reason to believe. Several firms have 

offered hope that flying people in small pods for short trips might become a reality in the next 

decade. These are not cars, as most are not fit to drive on land, but rather small vehicles, which 

can rise and land vertically, like quiet helicopters.

 

 

A prototype of a small electric plane capable of flying up to 300 kilometres per hour, made by 

Lilium, a German startup, completed a successful test over Bavaria on April 20th. Lilium is starting 

work on a five-seat vehicle and hopes to offer a ride-hailing service. Another German firm, e-volo, 

has been testing a flying vehicle for several years. It recently showed off the second version of its 

electric Volocopter (pictured), which could be certified for flight as soon as next year.

 

 

There are at least a dozen firms experimenting with making small flying vehicles in different guises, 

including Airbus, an aerospace giant, in partnership with Italdesign Giugiaro, a division of 

Volkswagen, a carmaker. Many plan to have a certified pilot in command at the beginning and then 

move on to an autonomous set-up when regulations allow. Motorcycle-type vehicles, which you 

sit astride, are also in the works.

 

 

No matter which manufacturer is quickest to gain velocity, Uber, a ride-hailing firm, aims to be at 

the centre of things. On April 25th it held an event in Dallas to announce its plan to offer a service 

where people can hail an electric “vertical takeoff and landing” vehicle and ride it quickly to 

destinations that would otherwise take hours in heavy traffic. Uber does not want to build these 

aircraft or landing pads itself, just as it does not own its own cars. Instead, it plans to collaborate 

with other companies. But Jeff Holden, Uber’s chief product officer, does not exclude the 

possibility that the firm may at the outset own some aircraft, which he estimates will cost around 

$1m each.

 

 

The firm plans to have a prototype of its service ready by 2020. It will launch it first in Dallas and 

in Dubai, both cities where the authorities have deep aviation expertise and where people 

commute long distances. The firm rather optimistically promises that the cost per aerial mile for 

passengers will be roughly that of its low-cost car service, UberX.

 

 

There is plenty for manufacturers and services like Uber to overcome beyond gravity. For 

battery-powered models, range is limited and the charging rate remains slow. Manufacturers will 

need to ensure that vehicles can take off and land quietly, if this new form of transport is to stand 

a chance in cities. How to oversee and license the new aircraft, which are subject to much tougher 

rules than cars, will be a subject of intense debate among rule-makers, who tend to move slowly 

and are just getting to grips with drones. Drivers of flying vehicles are also likely to require a pilot’

s licence, albeit perhaps a simplified “sports” licence. The journey ahead will be a long one.