2017年4月14日
ブロックチェーンに関する基礎知識 PartⅢ
おはようございます。
三回目はブロックチェーンの実際のビジネスへの応用です。ここで一番重要なのは、NTTの日本初の取り組みである「貿易金融」へのブロックチェーンの導入の試みです。
貿易をする際の「信用状」の分散台帳化によって、売買契約に伴う信用上の処理を一気に縮めようというものです。これは今後あらゆるビジネスや行政手続きにおける台帳の分散化応用のモデルになる取り組みです。
当社ノートウェアもまた様々な業界において、その業界独自の台帳があります。当社にとっては「電子カルテ」がそれにあたります。この「電子カルテ」もこの記事の信用状の分散化のように、強固なセキュリティの効いたブロックチェーン化によって、遠隔医療の基本である「ドクター・トゥ・ドクター」(中核医療機関の専門医と診療所の主治医間での、電子カルテや心電図などの画像データのやり取り)が可能になります。
ブロックチェーンは今後のデジタルヘルス革命「ヘルステック」において、AI=ディープラーニングを超える大きな革新の中心といえるでしょう。
ブロックチェーンのビジネス応用
NTT DATA
http://www.nttdata.com/jp/ja/services/sp/blockchain/initiatives/
適材適所を見極め、高い透明性を活かした用途に注力
注目を浴びるブロックチェーンですが、高い透明性や信頼性をインターネット上で確保できることから、決済取引などの大規模なビジネス用途に加えて、多様な用途への応用が期待されています。
例えば個人や中小企業が作成した著作物に関わる各種権利 (利用, 頒布, 複製, 改変など) についての許可をブロックチェーン上で管理することで、著作物使用の認可や課金の仕組みをつくったり、医療分野においてはプライバシーを考慮した上で、治療、 投薬、 検査、リハビリ等の履歴やデータをブロックチェーン上に記録して広く共有したりすることで、個人の完全で一貫した医療記録を元にした効果的な治療が期待できます。また、コストを掛けずに商取引を実現する用途にもブロックチェーンは適用可能です。
さらに、台帳情報の共有による「中央集権型な管理が不要」「強い改ざん耐性」といったブロックチェーンの特徴を活かして、サプライチェーン情報を大勢で共有するトレーサビリティーの仕組みが整備されれば、前述の食品偽装や中古車の事故歴隠しといった事業者側の不正を監視することができ、消費者側に大きなメリットをもたらします。
ブロックチェーン技術の適用が期待されるサービス
日本初となる貿易取引の実証実験で有効性を確認
NTTデータでは、日本、イタリア、米国等でブロックチェーンに関する実証実験またはシステム開発を実施しています。日本では、証券取引についてブロックチェーンを用いた分散証券取引プラットフォームの基盤を構築して証券取引業務全体をスコープに入れた検証作業を実施。リアルタイム性の高い取引には向かないものの、決められた時間に実行する仕組みであれば適用が可能であり、分散環境で起こりうる情報伝達の遅延や一時的な不整合に対する解消方法の必要性、利益情報を含む金融取引の秘匿技術の開発が不可欠である、などの課題を把握するに至りました。
業界特有の商習慣を維持しつつ、業務を大幅に効率化
さらに、国内で初めてとなる「貿易金融」をテーマにブロックチェーン適用に関する実証実験を複数の金融機関などと共同で実施しました。貿易取引においては、企業間が地理的に離れていて貨物の輸送に時間を要するため、商品の引き渡しと代金決済のタイムラグによるリスクが生じます。これを回避する目的で、取引相手が資金を有していることを金融機関が保証する「信用状(L/C)」を郵送や電子メールでやりとりをする独自の商習慣があり、手続き処理が煩雑で時間を要することが課題となっています。
そこでブロックチェーンの特長の一つ、「共通台帳を分散管理する」機能を活用すれば、取引関係者が情報を同時に共有することが可能になります。これまで信用状の手続き処理に最短でも数日程度を要していたのに対し、ブロックチェーンで共有することで情報閲覧が数分で可能となるなど、大幅な時間短縮が図れ、信用状に修正手続きが生じた際にも作業の迅速化が図れることが確認できました。NTTデータでは、貿易金融におけるさらなる活用を目指して検討を行っています。
ブロックチェーンを活用した貿易取引での信用状(L/C)処理の流れ
多彩なビジネスへの適用に向けて、開発・支援体制をグローバルに展開
そのほか、いわゆる「Internet of Individuals(個人のインターネット)」に関する個人と法人、法人と企業間の分散型保険・金融サービスをはじめ、自動車の搭載機器や利用状況に応じた保証内容・金額を自動的に算出するレンタカー保険、「デジタルID」を用いる安心・安全な商取引の実現など、ブロックチェーン技術の多彩な用途への検討を進めています。
とりわけ、海外で活発な「寄付」の仕組みに対しても、高い透明性や改ざん耐性を有するブロックチェーンのメリットを最大限に活かして、プロモーターなどを介しつつ、受益者と寄付者をつなぐ寄付プラットフォームの実現に向けた開発を進めています。
ブロックチェーンを用いた寄付の仕組み(イメージ)
政府は「一億総活躍社会」の実現を掲げていますが、ブロックチェーンはそうした個人や中小企業がより自由に活躍できる社会インフラや、社会を変えるパワーになり得るといえます。
NTTデータは、これまで担ってきた金融機関の勘定系システムやクレジットカード決済ネットワークなどの大規模社会インフラシステムと各種基幹系業務システム構築の知見を活かし、ブロックチェーン技術の成熟化に向けて貢献していきます。また、将来的なブロックチェーン技術の導入ニーズにスムーズに対応できるよう、大規模なブロックチェーンシステムの設計・運用に関するノウハウの蓄積を今後も進めていきます。
編集部からのコメントです。
最後に非常に重要なことが書かれています。この記事はブロックチェーンを検索すると真っ先に出てくるものですが、簡潔な説目でありながら、さすがNTT様です、さらっと極めて意義深いことを盛り込んでいます。全くの入門者に最適の記事といえるでしょう。
重要なというのは「インフラの変更」のことが書かれていることです。ブロックチェーンは単なる仮想通貨や手続きの簡素化という業務や手続きの「効率化」を目指すだけの取り組みではないのです。
これまでご紹介したヘルステックの記事に「パラダイムシフト」という言葉が何度も登場してきましたが、これは端的に言うならばインフラ変更のことなのです。世界で最も影響力のある国が変わるという意味合いもありますが、我々の生活やビジネスに直結するものは、日々のすべてのシステムが変わる、または便利になるということです。
インフラというのは、交通システム、通信システム、エネルギー供給から教育や医療まで多岐にわたりますが、この分散台帳システムは、これまであたりまえだったすべての方法や制度を20世紀の遺物としてしまう力があります。
以前に時速1000キロで地下やチューブ内を走るハイパーループをご紹介しましたが、あれを上回る大きな試みです。AI=ディープラーニングに並ぶ画期的なシステム変更の原動力です。
上記の文章ではNTT様の「ブロックチェーンはそうした個人や中小企業がより自由に活躍できる社会インフラや、社会を変えるパワーになり得る」という端的な言葉がそれを表しています。
以下にブロックチェーンに関するサイトのリンクを貼っておきますので、どうぞ皆さん、今後のビジネスや生活の必須のものとして、ブロックチェーンを研究なさっていただきたく存じます。
以下のいくつかの記事は、これから分析記事を掲載していく予定です。
ブロックチェーンの仕組み 〜初心者のためのわかりやすい解説〜
http://gaiax-blockchain.com/blockchain-first-book
ブロックチェーンの仕組み 〜初心者のためのわかりやすい解説〜
http://gaiax-blockchain.com/blockchain-first-book
「ブロックチェーンとは結局何なのか」ビジネスパーソン向けに徹底解説&ブロックチェーンの衝撃・金融サービスへの応用補足説明
http://btcnews.jp/gotoh-blockchain-report-16q3/
ブロックチェーンとは|仕組みとメリット、国内外の事例7選
https://furien.jp/columns/106/
ビットコインの仕組み
http://bitcoin.peryaudo.org/design.html
金つぶ: #91 2016年12月30日「仮想通貨の未来」
Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System (サトシナカモトの論文)
http://bitcoin.peryaudo.org/vendor/bitcoin.pdf
BlockChain Technology Beyond Bitcoin
http://scet.berkeley.edu/wp-content/uploads/BlockchainPaper.pdf
THE BLOCKCHAIN REVOLUTION: AN ANALYSIS OF REGULATION AND TECHNOLOGY RELATED TO DISTRIBUTED LEDGER TECHNOLOGIES
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2849251
https://poseidon01.ssrn.com/delivery.php?ID=918113104022126097090104022065067097020018019037026034118071002098070017010121113031035097127107114000118007018127012064109073112094001030086099097084013115088110067081052041088008122109006113075009018065093114069010124028065015094026091024105118030081&EXT=pdf
仮想通貨法
金融庁
http://www.fsa.go.jp/news/28/ginkou/20161228-4.html
http://www.fsa.go.jp/common/diet/190/01/riyuu.pdf