2017年8月4日

 

 

 

 

 

 

ドイツのビッグ3自動運転車開発へ

 

 

 

 

 

 

アウディ(フォルクス・ワーゲン、ダイムラー、BMWがそれぞれのCPUパートナーを選択

 

 

 

 

 おはようございます。

 

 

 ドイツのビッグ3の前に、日本の携帯3社のIoTの動きの記事があります。

 

 

 NTT、KDDI、ソフトバンクが次世代の超高速無線通信「第5世代(5G)」を本格化させるという動きです。これは自動運転車の実用化を中心とした、IoTインフラ整備の動きです。ほんのわずかの遅れも許されない、自動運転車のクラウドとの通信が「0.0001秒の速さでやり取りできる」ということです。事故を未然に防ぐため絶対に必要なキャパシティの確保を図りますまた「VR技術を使った遠隔手術など医療への利用」を促進させるものとしても、非常に注目に値する動きです。

 

 

 そして後半はドイツのビッグ3による自動運転車開発の勢力動向です。簡潔に言えば、それぞれがどこのIT企業、つマリ殿CPU、GPUを使うことに決めたのかが焦点です。アウディ(つまりドイツ最大の自動車メーカーフォルクス・ワーゲン)がNVIDIA、ダイムラーは、テスラが見切った企業であるイスラエルの「モービルアイ」との協働をやめてNVIDIA。それに対して、BMWがインテルを、ということは「モービルアイ」を使うことになりそうです。

 

 

 こうしたGPUやCPU企業がクラウドの対極にある「エッジ」を握ります。「エッジ」とは端末のことで、クラウドにつながったPCは皆エッジといえます。自動運転車はすべてをクラウドに頼るのではなく、自動車内のCPUである程度の情報を仕分けして処理しなければならない。そこで「エッジ」が今後のIoTのカギを握ります。つまりCPUやGPUの会社が自動運転車のカギを握るわけです。

 

 

 以前NVIDIAとインテルの動きを掲載しましたが、ドイツの自動運転車開発にその動向がしっかりと反映されています。日本ではトヨタがNVIDIAを採用することで話題になりました。

 

 

 こうした自動運転車開発の動向は、今後のIoT普及のすべてを占うモデルといえます。注目を続けていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「5G」通信、23年に全国で 携帯大手がIoT加速 

 

 

 

 

 

 


2017/6/7 2:46

日本経済新聞

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ06HRL_W7A600C1MM8000/

 

 

 

 

 

 

 次世代の超高速無線通信「第5世代(5G)」の商業利用区域が2023年にも全国へ広がる。NTTドコモKDDIソフトバンクの携帯大手3社は20年に5Gの利用を一部で開始、ドコモは3年ほどで全国展開する見通し。3社の総投資額は5兆円規模に達するとみられる。自動運転車やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及を後押ししそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 各社は20年の東京五輪・パラリンピック開催に合わせて都心など一部で商業利用を始め、徐々にエリアを広げる。ドコモの吉沢和弘社長は「3年以内に全国の主要地域に展開する」と言明、23年度にも全国展開する見通しを表明した。

 

 

 5Gは現行の4Gと比べ実効速度が最大1000倍程度になる。国際規格の概要は今年末にも固まる。機器の開発には約年かかるとされ、各社は19年度にも設備投資を始める考えだ。全国の基地局部品やサーバー、専用システムなどを5G向けに整備する。

 

 

 5Gの用途が期待される自動運転車の場合、0.0001秒の速さで車同士でデータをやり取りできる。より高性能な自動運転が実現すれば、事故を未然に防げる確率が一気に高まる仮想現実(VR)技術を使った遠隔手術など医療への利用も進みそうだ。

 

 

 さらに需要が大きいと目されるのがコンテンツ分野だ。スポーツ中継などで複数のカメラからの映像を瞬時に合成し、ユーザーが見たい視点から観戦を楽しむなどの用途の開発が進んでいる。

 

 

 産業分野でも大きな用途が見込まれる。特に期待されるのがIoTの加速。大量の端末と同時接続でき、より多くの情報を瞬時に吸い上げられ、工場の生産性向上などに役立つとみられる。

 

 

 3社の5Gへの総投資額5兆円は、4G・LTEへの投資総額の6兆円超よりも抑えられる見込み。すでに全国にある基地局を一部転用できるからだ。ドコモの親会社であるNTTはKDDIとソフトバンクに対し、コスト削減を狙い、5Gの基地局を共有化するよう打診している。都市部などを対象に2社とも応じる見込みで、投資額の削減につながる。

 

 

 足元の業績が好調な携帯3社が設備共有化を模索するのは、契約者数の伸びが鈍化し、中長期的には収益力が低下する恐れがあるからだ。スマートフォン(スマホ)の成長が伸び悩み格安スマホとの競合も激化する。

 

 

 5Gでも国が割り当てる電波を使うため、携帯3社は格安スマホ会社に回線を貸し出す義務があり、価格競争が続く見通し。携帯3社は業績を維持するため5Gで投資コスト削減に力を入れる。

 

 

 主要国の通信会社も5Gの整備を急ぐ。米国では最大手ベライゾン・コミュニケーションズが18年初めに独自規格で5Gの実用化を目指す。中国最大手の中国移動は、20年の商用化に照準を合わせて1920年に集中投資する方針。韓国でもKTが18年に5Gに準拠した方式を試験利用する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツ大手社の自動運転競争、知られざる舞台裏

 

 

 

 

 

 

 

日経テクノロジーオンライン

2017/06/07

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/041100089/060500025/?n_cid=nbptec_tecml

 

 

 

 

 

 高精度なデジタル地図を手掛けるヒア。同社を通じて“協調路線”を走るのが、アウディ、BMW、ダイムラーの独大手自動車メーカーである。その一方で、これらジャーマンは自動運転車両の開発では激しく競い合う。協調と競争の使い分け。これが自動車開発で世界の先頭を走ってきたジャーマンの姿だ。

 

 

 いち早く自動運転車の実用化を目指すフォルクスワーゲン(VW)グループのアウディ、シェアサービスとの連携に力を注ぐダイムラー、世界が注目するエヌビディアとは距離を置いてインテルと手を組むBMW――。車両開発における社の取り組みは大きく異なる。

 

 

 

エヌビディア採用で「世界初」を目指すアウディ

 

 

 トヨタ自動車との提携を発表し、今や時代の寵児ともいえるIT企業の米エヌビディア。アウディはエヌビディアにいち早く目を付けて、長年協業してきた。社が協業し始めたのは、今から10年前となる2007。当時は自動運転技術ではなく、メーターやカーナビの画像処理にエヌビディアのGPU技術を使うためだった。

 

 

 エヌビディアが自動運転用コンピューター「DRIVE PX 2」を2016年に発表したとき、最初に採用を決めたメーカーはスウェーデン・ボルボである。だがエヌビディアが最初に採用を呼びかけたのは、アウディとされる。

 

 

 当時、アウディは自動運転の基礎技術と言える自動ブレーキの画像認識に、イスラエルのモービルアイ(2017月にインテルが買収すると発表)の製品を採用していた。モービルアイの製品を採用し続けるか、エヌビディア製品に切り替えるのか。アウディは時間をかけて見極めた。アウディが、レベル以上の自動運転技術の開発でエヌビディアに切り替えることを発表したのは、2017年に入ってからのことだ。

 

 

 もちろん水面下では、モービルアイとエヌビディアの実力を並行して探っていた。協業することを発表したのと同時に、アウディはエヌビディアの技術を採用した自動運転機能を搭載した試作車を披露。長らくエヌビディアと協業してきたことの証左といえよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウディとエヌビディアが開発した試作車

 

 

 

 

 アウディは2017月、エヌビディアの車載コンピューターを使ったレベルの自動運転車として最高級セダン「A8」を公開する計画だ。レベルとは、通常走行時は自動運転で走行し、緊急時に運転者が操作する仕様のクルマ。渋滞中で速度が時速60km以下の状況で、運転者は運転操作を車両側に委ねられる。限られた範囲とはいえ、いよいよ「自動運転」と呼べる水準のクルマが出現する。

 

 

 同じ時期に米テスラが、レベルの自動運転車を実用化することをもくろむ。同社は、既に販売中の車両にセンサーなどを搭載し、OTA(Over The Air:無線通信によるソフトウエア更新)でレベルのクルマに“衣替え”する計画だ。「世界初のレベル対応車」の称号を、アウディとテスラのどちらが獲得するのか。2017年はレベルの自動運転車の動向に注目が集まる。

 

 

(編集部注記: モービルアイはもともとテスラ・モータースが開発中の自動運転車にセンサーを供給していたが、昨年2016年6月に事故が発生し、それを受けて7月に事業提携を解消している。)

 

モービルアイ、死亡事故を起こしたテスラとの契約を打ち切ると発表

https://www.technologyreview.jp/s/4008/tesla-is-losing-the-supplier-of-autopilots-brain/

 

 

 

ダイムラー、競合と提携のなぜ

 

 

 「メルセデス・ベンツ」ブランドのクルマを主力とするダイムラー。同社の自動運転開発の特徴は、シェアサービスとの連携に力を注いでいることだ。ダイムラーは、「所有」する車両は基本的にレベル、「シェア」する車両はレベルの無人運転車という格好ですみ分けると将来をみている。

 

 

 

 

ダイムラーが2015年に発表したメルセデス・ベンツの完全自動運転車のコンセプト

 

 

 

 

 ダイムラーは2017月、運転者がいなくても走れる完全自動運転車の開発でドイツ・ボッシュと提携すると発表した。2020年代初頭の実用化を目指す。併せて、タクシーのように無人運転車を呼び出せるモビリティーサービスの開発も進める。

 

 

 両社は、制御ソフトウエアを実装した車載コンピューターについては米エヌビディア製品を採用する可能性が高い。なぜならダイムラーとボッシュは、それぞれエヌビディアと提携しているからだ。

 

 

 両社は、市街地で走れる自動運転システムのソフトウエアとアルゴリズムを共同で開発する。自動運転の水準は、レベルとレベル相当する。「運転免許を保持していない人が移動する新たな手段を切り拓く」ことがダイムラーの目標だ。さらに同社は、新たに開発するサービスが実現すれば、市街地のあらかじめ決められた範囲内で、「スマートフォンを使ってカーシェアリングや自動運転タクシーを予約し、目的地に行ける」ことも期待している。

 

 

 ダイムラーは、自動車メーカーの中でモビリティーサービスに最も熱心な企業といえる。同社は既に、カーシェアリングサービス「CAR2GO(カーツーゴー)」を手掛けている乗り捨て自由であることに加えて、分単位の課金方式、スマートフォンのアプリによる車両の探索・予約といった取り組みで利用者数を堅調に伸ばしているようだ。

 

 

 配車アプリについては、配車アプリを手掛ける子会社の独マイタクシーがある。2016年、ダイムラー傘下のマイタクシーと英ヘイローが合併することを発表。50以上の都市でサービスを展開し、登録運転手10万人を超え、欧州域内で最大手となる。新会社には独ダイムラー系が69%出資する。

 

 

 シェアサービスに自社で取り組む姿勢のダイムラーだが、2017月に配車アプリ大手の米ウーバーと提携したことは興味深い。マイタクシーとウーバーは競合関係とみられるなか、提携に踏み切ったからだ。

 

 

 ダイムラー社長のディーター・ツェッチェ氏は、ダイムラーとウーバーの提携を「フレネミー(友人と敵の合成語)の関係」と説明する。世界各社が入り乱れて自動運転技術やシェアサービスを開発するなか、企業単位で比べると競合関係に見えても、サービスの中身や地域をしっかり見ると協調できる領域があるということだろう。ボーダーレス――。協調と競争の領域区分は、あいまいになってきているともいえる。

 

 

 

BMW、自動運転でもダイムラーに対抗

 

 

 自動運転の開発で、2016年に大きく方針を転換したのがBMWだ。BMWで自動運転車の開発を統括するウェナー・フーバー氏は、日経Automotiveによる2016月のインタビューで、「当面、完全自動運転車は駐車場での提供にとどめる」との方針を示していた。「自動運転車でも、社是である『駆け抜ける歓び』を提供する」(フーバー氏)との考えで、運転する楽しさのない自動運転車に否定的な姿勢だった。

 

 

 ところがBMWは2016月、インテルと自動運転車の開発で提携することを発表。2021年までに完全自動運転車を実用化すると宣言した。同社は2017年に公道実験を始める

 

 

(編集部注記: BMWがインテルと組むということになれば、NVIDIAやARMは絶対にありえず、インテルが最近買収し、テスラと提携を解消したモービルアイが制御を行うことになる。)

 

 完全自動運転に消極的だったBMWが、なぜ方針を転換したのか。それは、最大のライバルであるダイムラーの存在が大きい。クルマを発明した伝統を誇るダイムラーに対して“後発”のBMWは、技術面でダイムラーの先を走ることを使命としてきた。最先端技術分野である自動運転技術の開発で「ダイムラーに遅れをとるわけにはいかない」(BMW関係者)。この意見が、「駆け抜ける歓び」へのこだわりを上回ったのだろう。

 

 

 BMWのダイムラーへの対抗意識の強さは、車載コンピューターの選び方にも表れている。ダイムラーなどエヌビディア製品を採用する自動車メーカーが増えているなか、BMWはインテルを選んだ。自動運転の中核部品について、「ダイムラーと同じものを選びたくない」という意識がにじみ出る。

 

 

 BMWが、インテルを選ぶ伏線はあった。BMWは、インテルが買収することを決めたモービルアイの「育ての親」といえるほど、モービルアイと長い協業関係を持っていることだ。

 

 

 今でこそモービルアイの技術を自動ブレーキに採用する自動車メーカーは多いが、それまでは長年、モービルアイの採用実績は乏しかった。モービルアイは1990年代から自動車メーカーに自社製品を売り込んでいたものの、なかなか受注することができなかった。多くの自動車メーカーは、技術力は高くとも、採用実績や工場のない会社を相手にしなかったのである。そうしたモービルアイの厳しい状況を打開する契機をつくったのが、BMWである。BMWがモービルアイ製品の採用を決め、さらに生産先(STマイクロエレクトロニクス)も紹介した。2007年になって、ようやくモービルアイ製品は日の目を見た。

 

 

 BMWにとってモービルアイは、“子供”ともいえる存在である。モービルアイは自動運転用車載コンピューターの開発でエヌビディアにリードを許しているものの、半導体メーカー最大手のインテルの傘下に入ることで、その遅れを巻き返す算段だ。自動運転の開発で子供に賭けたBMWの判断は、吉と出るか凶と出るか。インテルが、BMWの自動運転技術の行方を左右する。